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【小説レビュー】「塀の中の美容室」:桜井美奈

小説レビュー「刑務所の中の美容室」:桜井美奈 小説

刑務所の中にある美容室を描いた小説

塀の中の美容室」を紹介していく。

 

書籍情報

著者:桜井美奈

出版社:双葉社(双葉文庫)

ISBN:978-4-575-52151-1

 

コミカライズ化されている。

 

あらすじ

『ご』と入力すると『ゴメン』と出てきて・・・・・・ 『ゴメン。今日も仕事でダメになった』の一文ができあがる――。激務が続く番組制作会社で働く芦原志穂。彼女は今日も恋人にデートのキャンセルを告げるメールを打っていた。最近では「次はいつ会えそう?」というメールすら届かない。そんな中、志穂は上司からの命令で、刑務所の中の美容室を取材することになるのだが――。彼女たちは、なぜそこに髪を切りにいくのか。刑務所の中で営業を行う美容室を舞台にした、感動の連作短編集。

桜井美奈、「塀の中の美容室」、双葉社、2018年、裏表紙より引用

 

感想

美容室って髪を切るだけじゃない

『美容室』という言葉を聞いたら

  • 髪を切ったり
  • パーマをかけたり
  • ヘアカラーをしたり

と、髪に関することを思い浮かべる人が多いと思う。

 

それに加えて、美容室はコミュニケーションの場所でもある。

 

美容室に行くと大抵会話が生まれる。

必然的に美容師は客とコミュニケーションをとらなければならない。

 

美容の技術だけでなく、巧みな話術を持っている必要がある。

 

 

本作はそんな美容室を舞台に紡がれる物語(連作短編集)である。

 

刑務所の中の美容室ではどんなストーリーが紡がれるのだろうか。

 

家族でも友達でも、恋人でもない

私を含め多くの人はいろいろな悩みを抱えて生きていると思う。

 

仕事や学校、人間関係や将来に至るまで、悩みの種は尽きない。

 

その中には家族・友達・恋人にも話せないものもある。

 

だがそういった悩みって、意外と身近じゃない人に話せたりする。

 

そのうちの一つの場所が、美容室だと思う。

 

もちろん、多くの場合根本的な解決はできないだろう。

だけど、抱えているものを発散するだけでかなり違うと思う。

 

 

作中で登場する女性たちは、各々悩みを抱えている。

 

彼女たちが美容室を訪れ、どのように変わっていくのか見てみてほしい。

 

刑務所って…

 

刑務所と聞いたとき、どんなイメージが浮かぶだろうか。

 

おそらく、いい印象を持つ人はほとんどいないだろう。

 

刑務所は、法令に背き刑罰を受けることになった人が収容される場所である。

それゆえ、悪いイメージを抱くのは仕方がない。

 

 

しかし全員が全員、世間でいうところの『悪者』なのだろうか。

 

 

この物語を読むまで、私にとって刑務所とは

「極悪人がいる場所」と思っていた。

 

しかし、実際には違うのかもしれない。

 

本作を読むと、刑務所や刑務官そして受刑者に対して違う見方ができるようになる気がする。

 

 

 

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