私を助けてくれたのは、殺したはずの夫でした。
小説「殺した夫が帰ってきました」を紹介していく。
作品情報
著者:桜井美奈
出版社:小学館(小学館文庫)
ISBN:978-4-09-407008-8
感想
タイトルのインパクトがすごい
『殺した夫が帰ってきました』
こんなインパクトがあるタイトルはそうそうないだろう。
怖すぎる。
もし、書店で見かけたら思わず手に取り、あらすじを確認してしまいそうだ。
ライトノベルを読み始めてから、タイトルの重要性は身に染みて感じるようになった。
ラノベのタイトルは説明調で長すぎる。
反して本作の題は
一目見ただけで読者の気を引き、なおかつ物語をよく表している。
とてもいい題名だと思う。
ミステリーなのか
都内のアパレルメーカーに勤務する鈴倉茉菜。茉菜は取引先に勤める穂高にしつこく言い寄られ悩んでいた。ある日、茉菜が帰宅しようとすると家の前で穂高に待ち伏せをされていた。茉菜の静止する声も聞かず、家の中に入ってこようとする穂高。その時、二人の前にある男が現れる。男は茉菜の夫を名乗り、穂高を追い出す。男はたしかに茉菜の夫・和希だった。しかし、茉菜が安堵することはなかった。なぜなら、和希はかつて茉菜が崖から突き落とし、間違いなく殺したはずで……。秘められた過去の愛と罪を追う、心をしめつける著者新境地のサスペンスミステリー!
桜井美奈、「殺した夫が帰ってきました」、小学館、2021年、裏表紙より引用
果たして、これはミステリーなのか。
読んでいて頭に浮かんだことである。
もちろん、謎はいろいろとある。
「なぜ、殺したはずの夫が生きているのか」
「なぜ、主人公がそこまで驚いていないのか」
,etc.
後半にどんでん返しはあるものの、これがミステリーなのかはよくわからない。
推理に必要な手掛かりが、最終局面まで提示されていないと感じるからだ。
推理小説の条件といえば、『ノックスの十戒』が思い浮かぶ。
(詳しくはググってみてね)
しかし最近では、このルールを逆手に取った作品もかなりある。
(例えば、相沢沙呼による「medium 霊媒探偵城塚翡翠」など。この作品は霊媒師が探偵。)

そんなわけで、私の知識では判断できなかった。
ぜひ、読んでみて自分で確かめてほしい。
内容は暗いが…
この物語、かなり暗めのストーリーになっている。
壮絶な過去を持った人が多く登場するからだ。
人によっては、読みたくなくなってしまうかもしれない。
特に女性の方は。
読んでみればわかる。
『心をしめつける』とはどういうことなのか。
暗いストーリーではあるものの
ページをめくる手は止まらない。
一度読み始めたら、先が気になって仕方ないのだ。
終盤に大どんでん返しも待ち受けている。
ぜひ、読んでみてほしい。
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