物理学者が主人公、異色の科学ミステリー
ガリレオシリーズ第1弾「探偵ガリレオ」を紹介していく。
作品情報
著者:東野圭吾
出版社:文藝春秋(文春文庫)
ISBN:978-4-16-711007-9
感想
小学生の時、ドラマを見て…
東野圭吾(以下敬称略)によるミステリー「ガリレオシリーズ」を知ったのは、小学生の時だった。
テレビドラマが放送されていたと思う。
10年以上前ということもあり、その内容はほとんど覚えていないのだが。
当時、児童書を中心に読んでいた私は、彼の著書を読むようになった。
そして、そこから大人向けの小説へと進んでいったのだ。
彼の小説は読みやすい。
まるで、本が手を引いてくれるかの如く読み進められる。
だからこそ、大した語彙のなかった小学生の私でも、楽しめたのだと思う。
今に至るまで、私は多くの本を読んできた。
その中でも、東野圭吾の小説が一番読みやすいと感じる。
(もちろん、児童書は除くが)
それにも関わらず、読みごたえもあり、最後の1ページをめくった時の達成感もある。
本当にすごい。
読書初心者にオススメしたい作家だ。
ガリレオシリーズ
突然、燃え上がった若者の頭、心臓だけ腐った男の死体、池に浮かんだデスマスク、幽体離脱した少年……警視庁捜査一課の草薙俊平が、説明のつかない難事件にぶつかったとき、必ず訪ねる友人がいる。帝都大学理工学部物理学科助教授・湯川学。常識を超えた謎に天才科学者が挑む、連作ミステリーのシリーズ第一作。(後略)
東野圭吾、「探偵ガリレオ」、文藝春秋、2002年、裏表紙より引用
本作の主人公は、理工学部物理学科助教授の湯川学である。
その肩書からイメージされる通り、結構変な人物だ。
ちなみに私自身、理工学部に在籍しているので、読むたびに
「こういう教授いるよな」
と思わずにいられない。
著者である東野さんも理系大学卒であるので、自らの経験をもとにしているのかもしれない。
さて、本作にはもう一人重要な人物がいる。
捜査一課の草薙俊平だ。
基本的に、本シリーズは彼の視点で進んでいく。
湯川がホームズ、草薙がワトソンのような位置づけだ。
湯川がかなりの変人なのに対して、草薙は割と普通である。
思考回路も普通の、一般人という感じだ。
物語の視点が彼であることによって、作品に感情移入しやすくなっている気がする。
連作短編集
本書「探偵ガリレオ」は連作短編集である。
つまり、1冊で多くのトリックを体験できるということだ。
そして、どの事件も科学的事象と関係がある。
理系、特に理工学系の大学に在籍している、または卒業した人にとって、これほど興味を惹かれる題材もないだろう。
自分が学んだ内容が登場するかもしれないのだ。
そのうえ、ミステリー好きだったら素晴らしい。
そんな人に出会ってしまったら、ガリレオシリーズを薦めざるをえない。
とはいえ、本シリーズは科学が苦手という人にもオススメしたい。
名前だけみると難しい単語も登場するが、わかりやすく説明されている。
苦手意識を持っている人にとって、興味を持つきっかけになるかもしれない。
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