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【小説レビュー】大学生が「カラフル」(著者:森絵都)を読んでみた

小説レビュー「カラフル」 小説

多くの人に読み継がれる、名作ファンタジー

小説「カラフル」を紹介していく。

 

作品情報

著者:森絵都

出版社:文藝春秋(文春文庫)

ISBN:978-4-16-774101-3

 

2000年、2018年、2022年に実写映画、2010年にアニメ映画が製作された。

 

感想

有名な名作

本作「カラフル」はかなり有名な作品だと思う。

 

普段読書をしない人でも、この作品だけは知っている人が多いのではないだろうか。

 

 

生前の罪により輪廻のサイクルから外されたぼくの魂が天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。自殺を図った少年、まことの体にホームステイし、自分の罪を思い出さなければならないのだ。真として過ごすうち、ぼくは人の欠点や美点が見えてくるようになる・・・・・・。(後略)

森絵都、「カラフル」、文藝春秋、2007年、裏表紙より引用

本作の主人公は生前、罪を犯した魂である。

 

その証拠に物語は、天使との会話で始まる。

 

そんな主人公が自殺を図った少年として生活し、生前の罪を思い出す

というのがストーリーの大筋だ。

 

 

間違いなくファンタジーである。

 

人には人に見せない一面がある

主人公は真として生活していくうちに、周囲の人間の秘められた思いに触れていく。

 

自分ではない誰かとして生きるからこそ、見えない気持ちに気づいたのだ。

客観的視点というものである。

 

 

人には他人に見せない一面がある。

この言葉に共感できる人は多いと思う。

 

ただ、本当に見せていないだけなのであろうか。

 

単に気づいていない可能性はないのだろうか。

 

 

作中で、主人公は人の知られざる一面に触れた。

 

言い換えれば、視点を変えることができるなら、その人に対する印象も変わるということではないだろうか。

 

 

それは人に限らないのかもしれない。

 

自分たちが生きている現実も、見方によっては天国にも地獄にもなるのだろう。

 

死にさえしなければ

これは持論なのだが

自分の人生が幸せだったかどうか』は死ぬその瞬間までわからないと思う。

 

なぜなら、今下した決断が正しかったかどうかなんて死ぬまでわからないのだから。

 

一体、お前は何を言いたいんだ

とツッコミたい人もいるとだろう。

 

まあ、ちょっと話を聞いてほしい。

 

 

本作の主人公は、ある意味生き返ったことと同義だと思う。(あくまで、他人としてだが…)

 

その後、多くに気づくことができた。

 

言い換えれば、死にさえしなければ可能性は未知数だということだ。

 

現在置かれている状況が最悪だったとしても、未来には好転する可能性がある。

逆に悪化する場合もある。

 

 

ここで、最初の話に戻る。

 

もし、真のように自ら命を絶つという選択をして、自分の人生は幸せだったと形容できるだろうか。

 

おそらく、それはないだろう。

 

 

死ぬその時まで、自分の人生を形容することはできない。

 

だが、自死という行為の先に、幸福なんて待ってはいないと思う。

 

ありきたりな結論になってしまうが、どんな地獄にいようが死ななければ好転する可能性はある。(と思いたい)

 

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