小説

【小説レビュー】「medium 霊媒探偵城塚翡翠」:相沢沙呼

霊媒師がその力を駆使して事件を解決していく本格ミステリー

medium 霊媒探偵城塚翡翠」を紹介していく。

 

作品情報

著者:相沢沙呼 

出版社:講談社(講談社文庫)

ISBN:978-4-06-524971-0

 

カバーイラスト:遠田志帆 

 

本作は

  • 第20回本格ミステリ大賞』受賞
  • このミステリーがすごい!』2020年、国内編第1位
  • 本格ミステリ・ベスト10』2020年、国内第1位
  • 2019ベストブック』ベストミステリー
  • 2019年SRの会ミステリーベスト10』国内部門第1位

の5冠を獲得している。

 

2022年、10月にテレビドラマ放送予定

 

あらすじ

死者がえる霊媒・じょうづかすいと、推理作家・こうげつろう。心霊と論理を組み合わせた真実を導き出す二人は、世間を騒がす連続死体遺棄事件に立ち向かう。証拠を残さない連続殺人鬼に辿り着けるのはもはや翡翠の持つ超常の力だけ。だがその魔手は彼女へと迫り――。ミステリーランキング5冠、最驚かつ最叫の傑作!

相沢沙呼、「medium 霊媒探偵城塚翡翠」、講談社、2021年、裏表紙より引用

 

感想

ミステリーとSF

この作品は『霊媒探偵』という名の通り、SFとミステリーが融合した作品である。

 

推理作家でもある主人公が、ヒロインの霊媒の力を借りて事件を解決へと導く。

というものだ。

 

割とありふれた設定の話かもしれない。

 

霊が視えるという設定から

「死者の霊と意思疎通をすれば、事件はすぐに解決してしまうのでは」

と思う人もいるだろう。

 

だが本作では読者を飽きさせないよう、巧妙にトリックが仕掛けられている。

 

心配している方もいるだろう。

だが安心してほしい。そして、ぜひ読んでみてほしい。

 

ヒロイン可愛い

この物語のヒロイン城塚翡翠は霊媒師である。

 

多くの人が『霊媒師』という文字を耳にすると胡散臭さや、きな臭さを感じる人が多いだろう。

 

だが、その印象とは裏腹に、彼女はとてもカワイイ。

ギャップ萌えというやつだ。

 

表紙のイラストから受ける凛々しさもその一因かもしれない。

 

 

実際には、か弱く健気な女の子なのだ。

読んでいると、「守ってあげたい」と思わせてくるのである。

 

 

このように彼女はとても魅力的なキャラクターである。

 

だが人によっては、好ましく思えないかもしれない。

ヒロインがアニメや漫画のキャラクターのように見えるからだ。

 

この部分が、本作品の数少ない低評価の理由になるかもしれない。

 

ただ、今どきの10代20代の人なら抵抗なく読めると思う。

 

衝撃的な展開・驚愕のトリック

ミステリランキング5冠

というキャッチコピーを胸に本書を読み始めた私。

 

しかし、多くの賞を獲得した割には、いまいちだと感じてしまった。

途中までは…

 

 

冒頭読んだだけでは、「本作品がなぜ5冠に値するのか」は分からないだろう。

 

だが、物語のある部分まで辿り着いたとき、今までの疑問は瞬く間に氷解する。

 

 

先ほど、「ヒロインがアニメのキャラクターっぽい、ことが評価の分ける可能性」について触れた。

 

だが、ある場面までたどり着けば、そんなことは関係ない。

それほど、予想外のことが起きるのである。

 

 

 

「作者が仕掛けたトリックに挑む」ことがミステリーの醍醐味の一つだろう。

 

だが、「トリックにまんまと嵌まってしまったときの快感」も比類しがたい魅力だ。

 

だが今作に限っては、快感というより驚愕の意が大きかった。

それほどにトリックが巧妙かつ大胆、さらに衝撃的だったのである。

 

一度読めば、5冠という快挙を成し遂げた理由がわかるだろう。

 

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