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【小説レビュー】「余命3000文字」:村崎羯諦

小説レビュー「余命3000文字」 小説

10分以内で読める、手軽な短編集

小説「余命3000文字」を紹介していく。

 

書籍情報

著者:村崎羯諦

出版社:小学館(小学館文庫)

ISBN:978-4-09-406849-8

 

感想

短編集

 

本書は連作じゃない短編集だ。

収録されている物語同士に繋がりがないということである。

 

互いに関連がない物語が複数収録されているため、区切って読むのに適している。

電車やバスに乗る機会が多い人にはいいかもしれない。

 

加えて、本作は一話がかなり短く10分くらいで読めるため、読書が苦手な人でも少しずつ読めると思う。

 

ただし、1篇を読んだ後にはかなりの満腹感があるため、一気に読みたいという人には向かないと感じた。

 

 

 

以前、児童書である「5分後に意外な結末」の第一巻を紹介したが、本書はその大人向け版という感じだ。

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ただし、本書は『小説家になろう』発の作品なので、そこまで難しいわけではない。

 

児童書と一般小説の中間、いわばライトノベルのような読み心地だ。

 

半ファンタジー

 

収録されている物語はファンタジーが多い。

大体8割くらいだと思う。

 

ファンタジーといっても、完全に架空の世界を舞台とするものから、現実と空想を巧みに繋ぎ合わせた作品も存在する。

 

本書には、それが満遍なく収録されている感じだ。

 

 

もちろん、現実的な物語もいくつかはあった。

だが、かなり少ない。

 

 

多くの物語が、何らかの形でファンタジーに接続されていると考えていいと思う。

 

何を伝えたいのか

 

本作は読みやすい。

にもかかわらず、話の意味が理解できない話がある。

 

何を伝えたいのかよくわからないことが多いのだ。

 

 

おそらく、1篇が短すぎることが原因なのだろう。

 

もう少し話が長かったら、もっといい物語にできたのでは?

と思うときがかなりあった。

 

加えて、物語が短いとストーリーに起伏を作りづらい。

 

短く読みやすく、筋が通っていて面白く、起承転結があり、なおかつ結末がしっかりしている物語を作るのは容易ではないのだろう。

 

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(※アイキャッチの書影画像は版元ドットコムから利用しています)

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