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【小説レビュー】「流浪の月」:凪良ゆう

小説レビュー「流浪の月」 小説

新たな人間関係の可能性を拓く作品

小説「流浪の月」を紹介していく。

 

作品情報

著者:凪良ゆう

出版社:東京創元社(創元文芸文庫)

ISBN:978-4-488-80301-8

 

2020年本屋大賞受賞作品。

2022年5月に実写映画が公開された。

 

感想

BL作家さん

 

私はアニオタである。

 

アニオタをやっていると、色々なジャンルの作品に遭遇する。

純愛、百合、三角関係、etc.

 

恋愛ものに限ってもその種類は多岐にわたる。

 

 

その中で一番敷居が高いのは、おそらくBLだろう。

(少なくとも私はそうだし、読んだことがない)

 

 

アニメショップに行けば、BL作品は数多く陳列されているし、映画化される作品もある。

 

よく見かけるジャンルである。

間違いなく人気があるのだ。

 

 

だが、敷居が高い。

手に取りづらいのである。

 

それでも一度は試してみたいという気もある。

 

 

 

本作の著者:凪良ゆう(敬略称)はBL作品で有名な作家だ。

 

本屋大賞に選出されたとき

BL作家が描いた一般作品」という文言で宣伝されていたことを覚えている。

 

 

この作品が出た時、思ったのだ。

「一般作品を読めば、BL作品の入り口が見えるのでは」と。

 

 

このような経緯で読むに至ったのである。

 

家族でも、恋人でもない

 

家族ではない、恋人でもない――だけどふみだけが、わたしに居場所をくれた。彼と過ごす時間が、この世界で生き続けるためのよりどころになった。それが、わたしたちの運命にどのような変化をもたらすかも知らないままに。それでも文、わたしはあなたのそばにいたい――。(後略)

凪良ゆう、「流浪の月」、東京創元社、2022年、裏表紙より引用

 

家族でも、恋人でもない。

そんな男女の関係が存在するのだろうか。

 

そんなことを思う人は多いだろう。

 

事実、私もそう思っていた。

そして、本書を読了した今なお、同じ気持ちである。

 

 

信じきれないのは、私自身がそういった関係性を知らないからだと思う。

 

話で聞いただけでは、なかなか共感できないのはよくあることだ。

経験がないと、共感には至らない。

 

 

だが本書を読むと、その可能性は垣間見える。

 

可能性さえあれば、行き詰ったときに

「既存の人間関係に囚われなくていいんだ」

と思わせてくれるような気がする。

 

読む人を選ぶかも

 

この物語は読む人を選ぶと思う。

 

この作品に対して、必ずしも好印象を抱けるわけではないだろう。

 

 

ネットを彷徨っていると、

主人公の行動が理解できない」とか

共感できない」という声もチラホラ見かける。

 

本書を読み終えた今、そう感じる理由も理解できる。

 

映画化されてるから、本屋大賞を取っているから、大衆向けの作品なんだろう

と思わない方がいいかもしれない。

 

 

 

本作を読むうえで

登場人物に共感できるか

が重要なポイントだと思う。

 

共感できさえすれば、名作として心に残る。

そうでなければ、作品に没入できず、読み進めるのが辛くなってしまうかもしれない。

 

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(※アイキャッチの書影画像は版元ドットコムから利用しています)

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