書籍情報
著者:あだち充
出版社:小学館(小学館文庫)
ISBN:978-4-09-193871-8(第一巻)
1995年にテレビアニメ、2005年に「H2~君といた日々」としてテレビドラマ化されました。
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あらすじ
中学時代にケガをして野球ができなくなった主人公 “国見比呂“
比呂の親友で野球の名門に進学した”橘英雄“
二人の『HERO』の青春の物語が幕を開ける
感想
野球マンガであり恋愛マンガでもある
私は今まで、「あだち充」作品の中では「クロスゲーム」しか読んだことがありませんでした。
「クロスゲーム」は第一巻がなかなかに衝撃的で、心が振るわされるような作品だったのでした。
それに対して「H2」は第一話がかなり衝撃的です。
なんと、「野球マンガなのに主人公が野球をできない」という走り出しなのです。
そこから、どうやって話を進めていくのでしょうか…
さて、「あだち充」は野球をモチーフにした恋愛マンガがかなり有名です。
「タッチ」は国民的名作で、最新作だと「MIX」ですね。
ときに野球マンガと思えたり、ときに恋愛作品だと感じたりするような作品だと思います。
本作も例に違わず、人によってとらえ方が異なるというのが大きな特徴です。
今まで読んだマンガの中で一番すごい
実をいうと私は小説ばかり読んでいるので、あまりマンガを読むことはありません。
そんな私でさえ感嘆してしまうほどのこのマンガ。
まじですごい。
『表現しない』
ということがスゴイです。
この作品を読んでいると、省略することの美学を感じます。
ほかの作品だったら、必ず書いてあるであろうことが飛ばされている。
試合終了の瞬間・決勝の結果など、重要な場面を描かないことによって、読者に想像させ、それぞれの感想が生まれる。
もちろん一般的な作品でも、読者や観客に委ねる場合はあります。
しかし、それは物語の最後が多く、途中に配置することは少ないです。
この「H2」は、ストーリーの途中で解釈を読者に委ねるということが印象的です。
私は本作をアプリで読んでいたのですが、アプリには一話ごとにコメントを書く欄があります。
一話ごとにそのコメントを覗いてしまいました。
自分の解釈と他人の解釈を比べることで新たな気づきが生まれ、それがかなりの快感です。
まさに、あだち先生の手法にはまっていました笑。
本作に関しては、アプリでみんなの意見を確認しながら読んでいくのもいいかもしれません。
アニメ・ドラマ版もチェックしたい
「H2」はマンガだからこそ、という魅力が多くありました。
はたして、アニメやドラマではどうなのでしょうか?
原作をほかのメディアで表現する場合、多くの工夫と原作への理解が必要になります。
本作「H2」なら尚更です。
アニメ・ドラマと原作における表現の違いを楽しみながら見るのもいいかもしれません。
アイキャッチの書影画像は版元ドットコムから利用しています
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