有名な推理小説「古典部シリーズ」の第一作
「氷菓」について紹介していく。
書籍情報
著者:米澤穂信
出版社:KADOKAWA(角川文庫)
ISBN:978-4-04-427101-5
2012年に京都アニメーションによって全22話のアニメが製作された。
またコミカライズ化もされている。
あらすじ
いつのまにか密室になった教室。毎週必ず借り出される本。あるはずの文集をないと言い張る少年。そして『氷菓』という題材の文集に秘められた33年前の真実—。何事にも積極的には関わろうとしない”省エネ”少年・折木奉太郎は、なりゆきで入部した古典部の仲間に依頼され、日常に潜む不思議な謎を次々と解き明かしていくことに。爽やかで、ちょっぴりほろ苦い青春ミステリ、<古典部>シリーズ開幕!
米澤穂信、「氷菓」、裏表紙より引用
作品の魅力、感想
普段、本を読まない人にも
本書は全部で217ページと小説の中ではかなり短い部類に入る。
本の外見を見てみても、分厚くないので普段読書しない人にも手に取りやすいと思う。
また、学園という舞台におけるミステリを題材にしていることも魅力の一つだろう。
人が死ぬことなく、身近に潜む謎に迫っていく。
残酷な表現もなく、ある意味心に優しい物語といえるのではないだろうか。
アニメを見た人へ
本作を知るきっかけとして、京都アニメーション制作のアニメを上げる人も少なくないと思う。
事実私もその一人である。
原作はアニメと異なり、時系列順になっていなかったり、物語の時代設定が少し異なったりするので戸惑う人もいるかもしれない。
そんな原作の良い点を挙げるとするならば
アニメ版よりも表現が詳らかである
ということだ。
限られた時間の中に収めなければならないアニメとは異なり、原作は状況や心情をより細かく表現できる。
主人公である “奉太郎” のモノローグはもちろんだが、原作を読むと漂ってくる空気感も感じてみてほしい。
アニメを見た人は、アニメのその先の展開を確認することも兼ねて原作を読んでみるのもいいかもしれない。
鮮やかすぎる色
学校生活。
多くの人は、その過ぎ去った時間を忘れがたい尊いものとしてとらえるだろう。
だが、全ての人が同様ではない。
鮮やかすぎる色は、その明るさのため鮮やかさを失う。
光が重なると明るくなる反面、白に近づいていくように。
私の高校生活は部活一色に染められていたので、もちろん誰もが羨むような青春ではなかった。
しかし、青春を謳歌しているように見える人が必ずしも薔薇色であるとも限らない。
淡くて苦い経験さえも、惜しむことのない思い出として残っていくのだろう。
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