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【小説レビュー】「RDG レッドデータガール はじめてのお使い」:荻原規子

現代を舞台に描かれるファンタジー、RDGシリーズ第1巻

小説「RDG レッドデータガール はじめてのお使い」を紹介していく。

 

作品情報

著者:荻原規子

出版社:KADOKAWA(角川文庫)

ISBN:978-4-04-394440-8

 

シリーズ全6巻(完結済み)+スピンオフ1巻。

 

コミカライズ化されている。

 

2013年にアニメ化された。

第1話(Amazon)↓


第1章 はじめての転校生

 

 

あらすじ

世界遺産に認定された熊野古道、玉倉山にある玉倉神社。そこに住むいずは中学三年まで、麓の中学と家の往復だけの生活を送ってきた。しかし、高校進学は、幼なじみのゆきとともに東京のほうじょう学園へ入学するよう周囲に決められてしまう。互いに反発する二人だったが、修学旅行先の東京で、姫神と呼ばれる謎の存在が現れ、さらに恐ろしい事件が襲いかかる。一族には大きな秘密が――。現代ファンタジーの最高傑作、ついに文庫化!

荻原規子、「RDG レッドデータガール はじめてのお使い」、KADOKAWA、2011年、裏表紙より引用

 

感想

現代を舞台にしたファンタジー

個人的な好みだが、ファンタジーはあまり好きではない。

 

物語に没頭しづらいからだ。

 

 

多くのファンタジー作品は、架空の世界を舞台にしている。

いま私たちが生きている現実とつながりがない世界である。

 

空想の世界で生活する人々は、私たちとは全く違う境遇で生きている。

すると、自分と登場人物の間に共通点を見出すことが難しい。

 

その結果、キャラクターに共感しづらくなってしまう。

 

 

一方、本作は現実の世界を舞台にしている。

読んでいると、物語の世界と私たちの世界がつながっているような気がしてくる。

 

 

作中で起きることは超常現象的である。

しかし、それに巻き込まれる人物が等身大の中学生であり、なおかつ現代を舞台にしていつことで、読者も共感することができるのではないかと思う。

 

中学生、青春、多感な時期

中高生のときはどうでもいいようなことを、真剣に考えてしまう。

 

本作の主人公 “泉水子” もそうである。

みんなと同じようになりたい、という思いを抱えていた。

 

思えば私も「みんなと同じように」という思いを抱えていたことがあった。

 

こんな思いを抱えていた人は私だけではないだろう。

 

青春時代は誰しも、心が不安定になる。

そしていろんなことが不安になる。

 

そして、その中で「みんなと同じであること」が安心材料になるのだ。

 

本作の登場人物 “泉水子” もそんな悩みを抱えている。

そして、そんな彼女に共感してしまう人は多いのではないだろうか。

 

ありきたりな悩みを抱える、等身大の少女が主人公である。

そんな設定がこの作品を、より身近に感じさせてくれる気がする。

 

シリーズ最初の1冊

この記事を書いている今、もちろん第1巻は読み終わっている。

 

そして、続きを読みたい衝動に駆られている。

シリーズの最初を意識した終わり方だったと思う。

 

 

本作は、普通の中学生として生活していた少女が、ある決意をする物語である。

 

もちろんのことながら、1巻ではそこまでしか描かれていない。

 

決意の先にどんな運命が待っているのか。

 

先が気になる…

気づいたら、まんまと作者の術中にはまっている。

 

幸いなことに、このシリーズは完結しており新巻を待つ必要がない。

先が気になって仕方がない性分である私にとって、最高である。

 

なるべく早く読もうと思う。

 

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