小説

【小説レビュー】大学生が「ぼくらの七日間戦争」を10年ぶりに読んだ感想

小学生の時、このシリーズを読んで胸を躍らせた。

小説「僕らの七日間戦争」を紹介する。

 

作品情報

著者:宗田理

出版社:ポプラ社

ISBN:978-4-591-09577-5

 

1988年に実写映画、2019年にアニメ映画が製作された。

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感想

中学生の反逆

今、このページを読んでいる大人の皆さんに聞きたい。

 

あなたは中学1年生の時に、何を思い・何を感じていただろうか。

 

おそらく思い出せないであろう。

まだ大人にもなりきれていない私(大学生)でさえ、わからない。

だから仕方のないことなのかもしれない。

 

そんな時に、役立つのが本書「ぼくらの七日間戦争」だ。

 

 

物語の主要人物はすべて中学1年生。

思春期を駆け抜けている年頃だ。

 

そんな彼らが、廃工場に立てこもり、大人に反逆を仕掛けるというのが本作のストーリーである。

 

 

本作において、「中高生が大人の事をどう見ているか」が物語の核をなす重要な要素だ。

 

今、中学生の人はもちろん共感できるし、大人が読んでも過去を懐かしむことだできるのではないだろうか。

 

子どもにとっての大人

子どもにとっての大人って、どんな人だろう。

 

20歳を超えて、こんな風に考えるようになった。

 

 

「大人とは、手本にも反面教師にもなりうる存在」

というのが、たどり着いた答えの一つだ。

 

 

試しに、親について考えてみる。

 

親というのは家族であり他人であり、そして何より一番身近な大人だ。

そんな彼・彼女らが子供に及ぼす影響は大きい。

 

子どもにとって初めて出会う大人は親であり、彼女らを観察する時間は余りある。

 

そんな親たちが、言行不一致だったらどう思うだろうか。

 

 

私ならば、不審に思い不安を抱くだろう。

思春期ならばなおさらだ。

 

本作に登場する彼らも、大人に対し何かしらの不満を抱いている。

 

 

小学生時代、なぜ「ぼくらシリーズ」に共感できたのか。

今ならそれがわかる。

 

クラスの男子全員で

物語で登場する中学生男子たちは、廃工場に立てこもり共同生活をすることになる。

 

大人への対抗心を胸にしながら。

 

 

クラスの男子全員で一緒に何かを成し遂げる。

中学生という年頃において、これほど楽しいことは他にないと思う。

 

彼らの姿を見ていて、湧き上がる感情がある。

大人には理解できないだろう、現に私も忘れつつあるのだから。

 

 

この物語は間違いなくフィクションである。

現実の中学生ができることは限られている。

 

もし同じことを実際の中学生が試みても、失敗してしまうだろう。

不可能なのだ。

 

だからこそ心躍るものがある。

 

現実での不信感を、物語の中の彼らが打ち払ってくれているような感覚になるのだ。

 

「ぼくらシリーズ」が人気を得ている理由の一端が、ここにある気がする。

 

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